北岳 日帰りは無理です 4 登り

 最初はスローペースだった。とりあえず無理をせずに登ることに慣れていこうと思った。少し歩くと、分岐点に来た。大樺沢方面のほうが、人気があるそうだなのだが、事前の情報では大雨の影響で登山道に問題があるような情報があったので、白根御池小屋方面へ。

 

 だいたい1時間につき5〜10分とのんびり登っていたが、それでもやはり今年は猛暑。あまり汗をかかない体質でも汗をどんどんかいた。テントを担いでいるだろう大きなザックを背負った人を何人も見た。中にはうめきながら(筋トレで重いウエイトを持ち上げる時のような声)登る人もいた。

 

 2時間半ぐらいで白根御池小屋に到着した。ここぐらいが山頂ぐらいだと楽なのになぁと思いつつ、少し休んだ。トイレもあったが、全然行きたくなかった。もうこのぐらいで左足のかかとが靴擦れしていて、靴下を新調しなかったことに後悔した。ここで山頂までの時間が4時間と書かれた看板を見た時、時間を逆算して、日帰りは無理かもと思えてきた。

 

 だから、ここから急いだ。本来、花が咲き渡るところを楽しみながら登るところなのに、靴擦れをしながら汗だくになりながら本気を出して登り始めた。だから、途中、ふらつく。ストックは役立った。すれ違った30代ぐらいの男性が転んだ。意識もうろうしている様子でフラフラしていた。まわりの人から、「大丈夫ですか?」と聞かれても適当な返事をしてフラフラしている。

 

 もうかなり昔に焼岳を登った時も、自分がはしごを登った後、すれ違った男性がはしごから落ちた時があった。俺は疫病神か?

 

 とにかく標高をあげた。時折、吹く風が少し涼しかった。なんども地図アプリを見たが、思いの外進まない。標高がある分、進まないのだ。だんだん雲行きが怪しくなってきた。

 

 尾根に上がり、やっと涼しくなってきた。おじいさんと子供二人が登っている。自分の体力のなさを感じつつも、クサリを捕まりながら登った。(そういう場所がいくつかあるがあまり危険なところはなかった)

 

 肩ノ小屋に着いた。ベンチが空いていたから、深夜にコンビニで買った海苔弁を食べた。美味しかったが、全部食べ終わる前に、雨が降ってきた。